ヌートリア
上の写真を見て、ぎょっとした方も多いかもしれません。この動物から毛皮を取ったとしても、そんなにすばらしい毛皮を得られるのかしら?とも思われそうですね。実際のところ、ヌートリアの毛皮の特徴や評価は、どの程度のものなのでしょうか?調べてみました。
ヌートリアとは?
まず、この大きなねずみについて知っていただければと思います。ヌートリアは南アメリカ原産の齧歯類で、水辺に生息するため、後ろ足には水かきがあり泳ぎが得意です。外見はビーバーやカピバラによく似ていますが、泳ぐ姿からはカワウソに間違えられることもあります。実際、「ヌートリア」というのは、スペイン語でカワウソの毛皮という意味だそうです。南アメリカでは「Coipo」と呼ばれており、英語圏でも「Nutria」より「Coypu」という呼び方が一般的となっています。
ヌートリアは第二次世界大戦の頃、軍服用の毛皮を得るため、世界各国で飼育をされるようになりました。日本では毛皮生産のため、1939年に150頭がフランスから輸入されましたが、その後、捨てられたり逃げ出すなどした個体が帰化し、問題となっています。
ヌートリアの毛皮の特徴
ヌートリアの毛皮は硬い刺毛に覆われています。そのままの状態で用いる場合もありますが、ほとんどの場合、刺毛を抜いた物か、刈毛した物が流通しています。実は、ヌートリアの毛皮から刺毛を取り除くと、その下には非常に高密度の、柔らかい綿毛が生えているのです。その綿毛は少しだけ縮れているため、もこもことしており、ボリュームがあるように見えます。また、綿毛の感触は世界三大毛皮の一つであるチンチラや、レッキスラビットと似ていることから、非常に評価も高い毛皮です。毛色については、そのままの自然色で使われるだけでなく、ブリーチをした物や、それを染色した物も多く出回っています。
一般的に毛皮は背中側の価値が高いのですが、ヌートリアの毛皮は、背中よりも腹側の毛が柔らかいため、腹側のほうに価値があるというのも特徴です。
ヌートリアの毛皮は、軍服に利用されたことからもわかるとおり、丈夫で保温性も抜群ですから、コートやジャケット、帽子など、幅広く利用されています。しかし、そのすばらしい肌触りを楽しむのであれば、マフラーや襟飾りがおすすめです。
大きなねずみ、ヌートリアの毛皮についておわかかりいただけましたでしょうか?ヌートリアは比較的入手が容易でありながら、非常に上質で丈夫な毛皮であると言えます。しかし、この毛皮を長く愛用していくためには、やはり日頃のお手入れがかかせません。きれいに着ていけば、リメイクも可能ですし、子どもや孫にまで渡していくことのできる財産となるでしょう。このサイトにはそのための情報が掲載されていますので、そちらもぜひ参考にされてみてください。